ミレイとミレー
ジョン・エヴァレット・ミレイというと、テイト・ギャラリーにある『オフィーリア』ですね。左の作品も、おなじくミレイが描いた『盲目の少女(La
Petite Aveugle)』です。【80 x 60 cm】ぐらいの大きさの、バーミンガム美術館(Birmingham Museum
and Art Gallery)所蔵作品で、Bunkamura(渋谷)の『ミレー3大名画展(2003.04.10.−07.13.)』にきていました。
ところで『ミレイ』と『ミレー』はちがうひとです。原語の発音ではほとんどおなじですが、日本語では慣用的に『ミレイ』と『ミレー』になっています。
『ミレイ(Millais)』のほうはジョン・エヴァレット・ミレイ(John verett Millais 1829-96)でイギリス人。ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ(1828-82)やバーン=ジョーンズ(1833-98)らとともに名前があがることが多い、『ラファエル前派』のひとりです。当時のアカデミックなひとたちがラファエッロかぶれだったのにたいして、ラファエッロ以前のもっとワイルドな絵画精神に戻ろうと唱えたひとたちです。ボッティチェッリやマンテーニャらに注目していました。
いっぽうの『ミレー(MIllet)』は、『晩鐘』や『落穂拾い』などで有名なフランス人画家ジャン・フランソワ・ミレー(Jean-Francois Millet 1814-75)で、今回の『ミレー3大名画展』の主人公です。
ジョン・エヴァレット・ミレイの作品が、しかもとくにこの作品『盲目の少女』がなぜこの展示会にきていたのか、それは分かりません。展示会のサブタイトルは『ヨーロッパ自然主義の画家たち』で、紹介文には『自然主義の観点から捉え、近代美術の流れを新しい切り口で紐解く作品73点を展示します。』とあります。ともかく、この作品は入ってすぐのところにあったのですが、目を引きました。
ミレイの盲目の少女(Artchive)
http://www.artchive.com/artchive/M/millais.html
それにしても・・この鮮烈な色彩は、いったいどこから来ているのでしょう・・?美しいとか、あざやかだとか、そういうことではなく、色彩の鮮烈さそのものがこの作品の意味を形成しているようにおもえるのです。
もしこの作品が、もうちょびっとでも暗めのかんじだったり、ジャン・フランソワ・ミレーばりにしぶい色で描かれていたりとかしたならば、この作品がもっている意味はまったくべつのものになってしまうような気がします。
かと言って、ラファエル前派が注目していたマンテーニャなどとの類似について述べるのもヤボにおもえます。むしろ・・ダンテ研究者でイタリアからイギリスに亡命したガブリエレ・ロセッティを父親にもつダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの精神的な影響のほうが − ダンテがえがいた世界のように、けっこうはっきりくっきりしていて、神話的原型をとどめたそんなヴィジュアルな世界の影響のほうが − あるのではないか・・などということが、頭をかすめたりしました。
ミレイ作品(Artchive)
http://www.artchive.com/artchive/M/millais.html
■ ジャン・フランソワ・ミレー(3大名画展)
■ ロセッティのおやじと吉田松陰
(2003.04.14.)