古い絵画やフレスコ画の青色で描かれた部分・・・それが剥落して、灰色になったり下地の色が出たり、、「青い空」がいつのまにか「赤い空」とか、、黒色化してしまったラファエッロ作品とか、、
古来「青色」はとても高価な色でした。なんとかそれを節約するために技法上の工夫がなされ、それが、のちにこういうモンダイが引き起こしてしまったのです。
青色顔料として古来有名なのは、ラピスラズリ(LAPISLAZULI)という宝石をくだいて作るウルトラマリンです。
これはフレスコ壁に用いる漆喰(アルカリ性)にも強いのですが、なにぶん宝石。かといって、あまり細かい粉末にすると灰色っぽくなってしまいます。きれいな青色をだすためには、それなりの量を塗布しなくてはなりません。
そこで、アズライトという比較的安価な群青色が用いられましたが、これはアルカリ性の漆喰には弱いのです。漆喰といっしょに使うことはできないので、いったんフレスコ画を完成させ、そのあとにアズライトだけをうわのせしていました。
このときも、あらかじめ下地にインディゴ(藍色)を塗っておくとか、「赤茶+黒」の下地を使うとか、ともかく、当時の画家たちはいろいろと工夫しました。
いずれにしても「うわのせ」ですので、漆喰といっしょに塗り固まったわけではありません。そのために、時間の経過とともに、多くの作品の青色部分が剥落してしまいました。
大野彩著『フレスコ画への招待(岩波アクティブ新書/2003年)』によると・・・
ルーマニアの教会では、フレスコ画を描く際の下塗りの漆喰に、イタリアなどとはちがって(というよりむしろ日本のように)、砂のかわりにある種の繊維(あるいはチーズ!)を混入していたために、500年も前の青色が、今も色鮮やかに残っている。
・・・のだそうです。しかも外壁に描かれたフレスコ画の青色です!
うぅ〜ん、見てみたい。って、、もしかしてみてるのかな、、?たとえばロシア、スーズダリのスパサ・エフィーミエフスキー修道院で見たフレスコ画(1689年制作)

これもまたじつにあざやかな青色でした〜。もしかして、ルーマニアのとおなじ原理、、?!
(2002.08.21.)(2003.11.02. 加筆)(2005.01.17. 見回り)
※ ファイル中の画像はラピスラズリ。
16〜18世紀によく用いられた青色顔料スマルトが古い聖母像などにも用いられていた・・・
http://homepage1.nifty.com/tawaraya-koboo..
スマルトの脱色過程を化学的に究明し、デジタル修復(コンピューター上での復元)をする・・・
http://www.natureasia.com/japan/webspecia..
(Nature Japan)
原石標本(ラピスラズリとアズライト)
http://www.artnavi.ne.jp/representation/gazai/a-3-1-1.htm
(Artnavi)
ラピスラズリをつかった宝飾品: ツタンカーメンのマスクもそうなんだ!
http://www.lapislazulijoyas.cl/lapislazuli.htm
『フレスコ画のルネサンス』 宮下孝晴著/NHK出版/2001年