EKAKINOKI

イタリア美術館の予約制にモノ申す

Italy museum昔からイタリアにある雑誌に「Bell'Italia(ベッリタリア:美しいイタリア)」というのがあります。政府観光局がつくる宣伝用の雑誌に構成は似ているが、もっとつっこみのある内容でレベルは高い。何気なく電車のなかでこの雑誌をながめていたら、とんでもない記事が目に飛び込んできた。

左はパドヴァ・スクロヴェーニ礼拝堂にあるジョットのフレスコ画。ジョットはルネサンス最初の巨匠のひとり。スクロヴェーニ礼拝堂は、ジョットに関心をもったらまずみたくなるところだ。なんとこの礼拝堂を見るのが予約制になってしまった。それだけではない。「20日前までに予約しなければならない!!!」

冗談じゃない。いつも一週間ぐらい前にやっとイタリア行きの日取りが決まるのに、どうやってはるかかなた極東の日本で20日前までに、「X月X日のX時にパドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂の前にいますから。」なんて決められる?!あんまりだ!年に一回だけ催されるヴェローナの野外オペラとはワケがチガウ。近くを通りがかったら、また立ち寄ってみようかということもできない。これでは、遠い国にある作品が、ますます遠のいてしまう。

狭い場所にガンガン観光客が入って来るのはやはり困るという、作品保護の主旨が分からないワケではない。でもジョットの作品を見たいのは、「今度行こうか。」と、電話して車で週末に来られるECの人間だけではないのだ。世界じゅうの愛好者がたのしみにしている。せめて外国人の枠を設けるなり、当日枠を設けるなり、できないものだろうか。一日ぐらいなら、ジョットの作品を見るために朝6時から並ぶのはよろこんで我慢しよう。

おなじように、アレッツォのサン・フランチェスコ教会のピエーロ・デッラ・フランチェスカのフレスコ画。教会内は自由に出入りできるのだが、(もっとも昼休みがある。)礼拝堂は予約制。当日の予約はムズカシイ。たくさんの外国人が見損ねている。

マントヴァのゴンザーガ城にあるカメラ・デッリ・スポーズィのマンテーニャのフレスコ画も最近予約制になった。マントヴァはすこし不便なところにあるから、平日など、観光客の少ない日はまあ、入れる。しかしマントヴァまで電車を乗り継いで、マンテーニャのフレスコ画が見られなかったら、目もあてられない。マントヴァはゴンザーガ家の長い支配下にあったためか、いまだに中世の「くすんだ」おもかげを色濃く残している魅力的な町ではある。でも、マンテーニャのフレスコ画が見られなかったからといって、レストランで「ニンニク入りのサラミ」と「モルタデッラ(ハム)」を山盛りにされても、やはり癒されない。

マントヴァのカメラ・デッリ・スポーズィ、インターネット上で申し込みができたら、「まだ救われる」とおもうのだが、「そういうサーヴィスはまだない。」と言う。英語に自信のないひとも、わざわざ日本から電話予約するしかない!それなら、京都のお寺を訪問するあらゆるイタリア人に、20日前までの予約を義務づけるというのはどう?「報復措置」というのは仏教国の伝統に反するが、イタリアにこれからもますます予約制の美術館なり礼拝堂がふえたらコマルもんね。

かんれんファイル

■ ピエーロ・デッラ・フランチェスカ
■ マンテーニャ

(2001.06.13.)

絵画 ロシア イタリア