EKAKINOKI

「小説 イエスの復活」

エリック=エマニュエル・シュミット著 / L'Evangile selon Pilate / Eric-Emmanuel Schmitt / 阪田由美子訳 / NHK出版 / 2001年

小説・イエスの復活イエスは、ゴルゴダの丘で磔(はりつけ)の刑に処せられ、その3日後に復活した。

このフシギな事実とそこにいたる経緯を、前半では『ニンゲン・イエス』の煩悶から、後半では、磔刑に『GO』のサインを出したローマ帝国の総督ピラトの心の動揺をもとに解き明かしていく。

原題は『ピラトによる福音書』。磔刑を執行した張本人のピラトによる福音書というところがおもしろい。福音書のへたな解説本を読むより、ぐっと当時の現実に引き寄せられる。

ピラトの妻でチャキチャキのローマ貴族だったクラウディアとピラトとの関係もひとつのキーになっているとおもう。ピラトが幼い頃、哲学教授をしていた犬儒学派のクラテリオスにはおもいっきり笑わせられる。クラウディアの従兄弟でプレイボーイだったファビウスは、当時の社交界のムンムンとした雰囲気を語りかけてくる。

それにしても『十字架』・・・今でこそなんの違和感もないが、あの当時キリスト信者が『十字架』を信仰のシンボルにするというのは、現代アートもまっさおになるぐらい『超過激な表現形式』だった!

『魚』でも『星』でもなんでもよかった・・。それをよりによって、処刑の対象となったイエスがくくりつけられていた『十字架』・・!きっとここいらへんにも、当時のいきさつをめぐる謎解きのカギがあるのだろう。

(2002.09.16.)

※  ピラト(Pontius Pilatus:在位 AD 23-36年)ローマ領ユダヤ第5代総督。失脚し流刑となった。

イエス本人かんれんファイル

■ イエスの顔
■ イエスの形骸布
■ 「小説 イエスの復活」
■ 和の風景にマッチするジーザス

かんれんファイル

■ ティントレットが描いた『ラザロの蘇生』

絵画 ロシア イタリア