イリーナ・パンタエヴァ著(河野万里子訳/講談社/上・下) "Siberian Dream by Irina Pantaeva" (Sanford J. Greenburger Associates, inc., New York 1998)
野心満々のロシア人女性がトップ・モデルになったサクセス・ストーリーかとタカをくくっていたら、とんでもない。おもわず話に引き込まれてしまった。
「シベリアン・ドリーム」の一節から引用・・・
西側で、ファッション・ビジネスがどのように動いているのか、わたしたちはまるで知らなかった。・・・・・わかっていたのは、ロシアでのやり方だけ−何かが欲しいなら、その場に行って、とにかく待つ。・・・だがソ連での暮らしから、わたしたちは、決してあきらめないこと、行く手をはばむものは何であれ無視することも、身につけていたのだ。
(引用おわり)
ブレジネフ末期からペレストロイカにかけて、著者はロシアの地方都市ウラン・ウデ(モンゴルとの国境にある町)で少女時代を送る。 全体主義的なソ連社会のなかで、地方に住む自立心溢れる少女がどのようにして心の平衡を保っていたのか・・・地方とモスクワのあいだの政治的タイム・ラグ・・・自由になるにつれて荒廃していく社会・・・そしてはじめての外国・・・どこまでもロシア田舎娘のミズミズしい眼差しが世界を見つめている。
(2002.05.02.)