最近、ロシア映画がちょっと変わり始めた。というか、、
ソ連時代の反動はオシマイ、アメリカ映画のわるいところに影響を受けるのもオシマイ。外国映画のいいところを取り入れつつ、かなりマジにじぶんたちの映画作りをはじめた、って気がする。いままでにないタイプの映画がロシアからどんどんでてきそうな気配すらある。
どんなふうに変わり始めた??
まず、SFファンタジーとそれにともなう特殊効果の使い方がおもしろい。SFファンタジーと言っても、ロシアのは100%絵空事やSFじゃない。「さもありうるコト!」として現実の一部に組み込まれている。
そもそもロシア人は、超常現象やオカルトやシャーマンなどの世界をすんなりと受け入れる東洋的な素質をもっている。それがSFファンタジーや特殊効果のあつかいにも反映してるんだろう。
それとロシア映画は、フランス映画に似た「リアルな描写」を好む。だから、リアルな描写に組み込まれるSFファンタジーも、それなりにリアルさがないと釣り合いがとれない。日常のそこここに得体が知れないブラックホールが隠されてる、ってカンジ。
海外でもヒットしたティムール・ベクマンベトフ監督「ナイト・ウォッチ」「デイ・ウォッチ」がそうだったし、ブルガーコフの小説を映画化した「巨匠とマルガリータ」のような映画でさえ、大なり小なりそうだった。
「デイ・ウォッチ(Дневной Дозор) - 2006」「ナイト・ウォッチ(Ночной Дозор) - 2004」
「ロシア映画はリアルな描写を好む」に関連してだけど、タンタンとした日常描写で、何々億円もかけた大仕掛けのアメリカ映画と基本的におなじようなものをサラッと作ってしまう、というのもある。たとえば、アレクセイ・バラバノフ監督「ロシアン・ブラザー」がそうだった。
「ロシアン・ブラザー1(Брат1-1997)」「ロシアン・ブラザー2(Брат2-2000)」・・・主演セルゲイ・バドゥロフは若手有望格だったが、ロシア南部でロケ中に事故死。
これはまるで「ロシア版ターミネーター」じゃない!?(「ゴルゴ13」にも似てるけど・・)
ターミネーターのいいところは、ダイナミックなシーンとスーパーマン的な主人公とスリルに目を奪われて、じっさいにやってることの残酷さを思い起こさせないとこだろう。「ロシアン・ブラザー」もまた、ピストルで無造作に人をバキュンバキュン、目的を爽快に遂行するあたりはターミネーターとまったくおなじ。だけどそこに重火器やムキムキ筋肉は登場しない。
そのかわりに ・・・ 「ごくフツウな若者とありきたりの日常」 ・・・ やるっきゃないから〜〜、やったからってべつに〜〜 ・・・ リキミもなくワルびれるところもなく、日常をなんとか凌いでるだけ。それでいてまるきしターミネーターになってる。
じっさい日常でなにをやってるかはひとそれぞれだけど、主人公のそうしたそっけない態度がどこかロシアの現実に通じるところがあって、それがまた共感を呼ぶのかなぁ、なんておもった。アメリカにシーンを移した「ロシアン・ブラザー2」で、こんな会話がかわされる・・・
「あなたたちギャング?!」「ノー。わたしたちロシア人よ。」
ロシアン・リアリズム!!!
(2006.07.10.)
Night Watch (English)
http://www.foxsearchlight.com/nwnd/
Дневной дозор (Russian)
http://www.probuem.ru/cinema/25040
ロシアン・ブラザー (Russian)
http://brat2.film.ru/
■ 映画「巨匠とマルガリータ」」