
ヴァリコヴァ / 64 x 50 cm / 油彩・ボード
紅い実、光線の具合、おそらく8月の終わりごろ・・9月。ロシアの夏はあっという間に通りすぎていく。それは、ながーいながーい冬のあいだの一夜だけの宴(うたげ)。
草花たちは、いまにも消えていきそうな夏のせつなさに我慢し切れなくなったのだろうか・・それともじぶんたちの美しさを記憶に残しておこうとおもったのか・・ちょこちょこちょこっとじぶんから歩いていって壷におさまった、そんな滑稽なかんじさえする。
すき間だらけの板塀。つつましい薄紫色の花が、板と板のあいだから顔をのぞかせている。庭の草はのび放題。簡素な丸太小家。壷におさまった草花のまわりを若者たちがぐるりととり囲んでいる。
モスクワの知り合いのところにおしかける計画でもしている・・?庭で収穫したトマトとキュウリを引きずって、満員の汽車を駅で待つ?娘たちの恋するまなざし。薄い着衣からは若い肌が透けている・・
ひかえめなコントラスト、淡い色彩。どこにでもある、だれにでも共通な『心のよろこび』が、この絵のなかでかろやかに踊っている。
(2003.05.11. 点検)
ヴァリコヴァのファイル・・・ 三月のお陽さま(作品紹介) // サラサラ土ってかんじ