モスクワの代表的な展示会場マニエージュで、ふたつの大きな展示会が催されていました。ひとつはギャラリー主催によるもの。そしてそれに引き続いて、ロシア美術家同盟主催の通称『モスト』という展示会です。
今年の『モスト』は60周年だか70周年だかの記念展示会で、かなり充実した内容が予想されました。日程があいにく折り合わず、ギャラリー主催の展示会のほうだけに顔を出してきました。
展示会最終日ということもあってか、予想以上の人出でした。ロシアは景気がいいのかな・・?そういうひとたちをターゲットにしたのか(あらたなマンション購入者層とか・・)、比較的『装飾色』が強い展示作品が多いように感じられました。
そう言えば・・ロシアでは壁に絨毯を掛けて飾る習慣があるのですが(タペストリーじゃないよ・・じゅーたん・・)、壁をビッシリとうめ尽くしていた絨毯をすっかり取り払って、「こんどは絵を掛けるんだ・・。」と言っていたひとのことを思い出しました。絨毯はもうすたれたんだそうです。
それと・・3〜4年ぐらい前までは、海外のギャラリーが積極的にこの展示会に参加していたのですが、今回などは、ほとんどがロシアのギャラリーによる展示でした。
上の作品(グリェプ・ヴィヤトキン作)は、この展示会で目にとまったもののひとつですが、もうひとつ・・色彩は上の作品と似たようなかんじで、もうすこし淡くくすんだ黄色が支配的な、デフォルメされた静物画の残像が、今もしっかりと脳裏に残っているのです。
とくに目的もなくふらふらと見てまわっていたのと(メモもせずに)、あとでカタログを購入するからそこにでているだろうとタカをくくっていたのとで(その作品は掲載されていませんでした・・)、その作品についての資料も写真も、いま手元にありません。一緒に見てまわっていたアーティストたちも、おなじようにその作品を評価していました。
そのあと展示会場をさまよいながら・・あるひとつのことを考えていました。「こんな絵があったよー、とひとに伝えるとしたら、どうやって説明したらいいんだろう・・?」
・・『レモンパイのような絵!』ですとか・・?焼き立てのレモンパイのようにふっくらとしていて香ばしくて、ちょっとほのかに酸味があって、淡くておいしくておもわず頬がこけそうな・・とか?ともかくよかったー・・とか?・・・そんなこと言ったって、なんのことかさっぱり分かりませんよね。ところがそれ以上なにも言葉が思い浮かばない。
どうして?たぶんたぶん、純粋に・・その作品のヴィジュアル(視覚的)な部分に共感してしまうと、言葉を失ってしまうような気がするのです。感動のあまり・・というのではないんですよ。なにかピッタリしすぎて、そこに言葉が入ってくる余地がなくなってしまうみたいな・・。そしてそういう作品ほど、いつまでもジクジクと印象が尾を引いたりするのです。
(2002.12.20.)
※ 『モスト』は12月17日より。